80代からの女性に贈る
ファッションブランド FUKUFUKU-YA
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2025/09/04 16:45

                                                                              

母を送って間もなく1年になります。
今回は母について少し書こうかと思います。

母は85歳から10年間
地元の高齢者施設で暮らしました。

高齢化と過疎化が急速に進む小さな町
町のコミュニティが
そのまま凝縮されて持ち込まれたような施設では
流れるのは穏やかな時間ばかりでは
なかったようです。

様々な感情で心がいっぱいになると
涙声で電話してくることもしばしばでした。

娘の私にできるのは
「うん、うん」と聞くことぐらい。
遠く離れた東京からでは
すぐに駆けつけることは難しく
1~2か月に一度面会に行くのが精いっぱいでした。

 新幹線のチケットを手配し
母の喜ぶ顔を思い浮かべながら
手土産用のお菓子をあれこれ選んだ時間は
今となっては愛おしいものです。

お菓子と一緒に持っていったもので
一番多かったのは衣類でした。
羽織もの、パンツ、靴下、パジャマ、下着・・・
そうした中で
FUKUFUKU-YAの商品が生まれるわけですが
誕生物語はまた別の機会に。

入居して2年くらいたった頃でしょうか。
手元のピンク色のらくらくホンで
「今、何時?」と
数時間おきに時刻を聞いてくるようになったのです。

 置時計があるのに電池切れかと思い
その都度「施設の人に見てもらって」
のんきに応えていた私。

浅はかでした。
母の「何時?」は続きました。

何日かして
ようやく「はっ!」と気づいたのです。
もしかして時刻が読み取れないのでは?
そういえば何かで読んだ気がする―

母の認知症を疑った瞬間でした。

それまでも
母はサインを発していたのかもしれません。
しかし
母の認知症を認めたくないという気持ちがあったのでしょう。
気付かないフリをしていたような気がします。

母が情けない想いをしている・・・・・・
急いでビックカメラに走り
売り場で一番大きなデジタル時計を購入し
母に送りました。

それが、冒頭に添付した時計です。

 その後
母からの「何時?」はピタリと止みました。
時計の針は読み取れないけれど
時間や数字の概念はまだ残っていたのです。

 デジタル時計は母に安心感をもたらしました。
大正解でした。
今後どんどん出来ないことが増えていき
「こんなことがわからない」と
母は悲嘆にくれるかもしれない。
そんなとき
家族は、娘はどう対応すればいいのか
母は自ら教えてくれたのでした。
「大丈夫」と代わりを用意し
補ってあげればいいんだと。

 あれから8年余り。
デジタル時計は最期まで
母の枕元で時を知らせ続け
今は私の寝室に置かれています。
TVはじめ居室内の遺品を整理する中
この時計だけは処分出来ませんでした。

母を救った「最高のギフト」でした。


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